従業員の配偶者(被扶養者)が離職等で扶養になるときの必要な手続きに以下のモノがあります。
①健康保険の異動(新規・追加)
②国民年金の第3号該当申請
今回は、②国民年金の第3号該当申請を忘れていた場合の、対応(遡及)方法をお教えいたします!
そもそもなぜ忘れるのか?
協会けんぽに加入している会社であれば、会社員の配偶者が離職等で扶養に入るとき、
健康保険被扶養者(異動)届と国民年金第3号被保険者関係届が1つの様式になった届(※1)を提出できますが、
健康保険組合に加入している事業者の場合、
健康保険組合へ、健康保険 被扶養者(異動)届と、国民年金第3号被保険者関係届(※2)を提出し、
健康保険組合から医療保険者記入欄に受付印が押され返却された第3号被保険者関係届を年金事務所へ郵送する必要があります。
①保険組合へ健康保険 被扶養者(異動)届と、国民年金第3号被保険者関係届を提出
↓
②受付印が押された第3号被保険者関係届が返却される
↓
③年金事務所へ郵送
よくあるのが、①の時点で被扶養者(異動)届のみ提出して満足してしまうケースです!
しかも、忘れていても、誰も教えてくれません…。
発覚するケース
もし第3号被保険者関係届を提出し忘れていても、誰も教えてくれませんから、
よほどのことが無い限りそのまま月日が流れてしまいます。
では、いつ発覚するのか?
これは大まかに分けて2パターンあります。
①年金支払い通知が従業員に届いて発覚するパターン
年金事務所より、配偶者へ年金を支払ってくれとの通知書が届きます。
すると、従業員は不思議に思います。
サラリーマンが扶養している配偶者は年金の支払いは無いよね?と。
そこで総務部に確認を行い発覚するのです。
②再度扶養から外れる際、非該当を提出して年金事務所に拒否られるパターン
扶養に入っていた配偶者が再度就職等で扶養から外れる際、
第3号被保険者関係届の非該当を年金事務所に送付します。
すると、年金事務所から、
そもそも第3号に入っていないよ。
と差し戻しされてしまい、発覚するパターン
大抵この2パターンが多いです。
第3号該当処理が漏れていた場合の対処方法
では、国民年金の第3号該当処理が漏れていた時、どうすればいいのか。
まず確実なのは年金事務所に確認することですが、実際の処理ベースでご紹介します。
① 従業員の配偶者が扶養に入ったのがいつなのか確認する。
② 第3号被保険者関係届に該当に印をつけ、扶養年月日を記入
③ 扶養申請時に健康保険組合から受理された通知書を用意
④ ②と③を合わせて年金事務所へ郵送
⑤ 従業員へ案内
① 従業員の配偶者が扶養に入ったのがいつなのか確認する。
まずは、健康保険の手続き履歴や、健康保険組合へ問い合わせを行い、
従業員の配偶者がいつ扶養に入ったか正確な日付を確認します。
② 第3号被保険者関係届に該当に印をつけ、扶養年月日を記入
次に、国民年金第3号被保険者関係届の該当申請を行いますので、
扶養した日(過去日)を記入します。
※もし第3号の非該当届を提出し、年金事務所から、そもそも第3号に入っていないよ。とお知らせが来た場合は、
「再提出用」の第3号被保険者関係届が返送されてきますので、そちらに記入します。
③ 扶養申請時に健康保険組合から受理された通知書を用意
健康保険組合へ扶養申請した時の、健康保険組合から返送された受理通知書を用意します。
④ ②と③を合わせて年金事務所へ郵送
②と③を合わせて年金事務所へ送付します。
ここまでが会社側の手続きとなります。
すると、扶養した日に遡ってまず第3号になる手続きが行われます。もし第3号から外れる申請をしていて発覚した場合は、その後第3号から外れる処理がされます。
また、もし、従業員の配偶者が扶養にはいって本来払う必要のない年金を支払っていた場合、
年金事務所から従業員の自宅へ、
「第3号加入のお知らせ」が届き、その後「年金の還付のお知らせ(国民年金保険料還付請求書」が届きます。
つまり、本来払う必要のなかった年金はしっかり還付されますし、本人と年金事務所とのやり取りとなります。
※ただし年金還付の時効は2年となります。2年経つと還付を受ける権利は消滅します。
⑤ 従業員へ案内
従業員へ、お詫びの連絡と、
遡って年金の第3号の加入をした旨、また、もし配偶者が年金を支払っていた場合は還付される旨の連絡を入れます。
従業員の家に、年金事務所より「第3号加入のお知らせ」が郵送されるので、あらかじめ従業員へ連絡しないと後々トラブルとなりますので、確実に連絡しましょう。
まとめ
今回は、従業員の扶養している配偶者を年金第3号にする手続きを忘れていた場合の、遡及手続きを紹介しました。
そもそも手続きを忘れることを防ぐ仕組みづくりをする必要がありますが、忘れてしまったものは仕方ありません。
迅速かつ丁寧なリカバリをしましょう!
法改正等により、執筆内容が必ずしも正しいとは限りませんので、注意してください。年金事務所へ確認するのが確実です。